近年、マッチングアプリ市場は急速に拡大しており、新規参入を検討する企業や個人事業主が増えています。しかし、マッチングアプリ事業を始める際には、法律に基づく届出が必要になることをご存知でしょうか。本記事では、マッチングアプリ事業を始める際に必要な手続きについて詳しく解説します。
インターネット異性紹介事業の届出が必要
マッチングアプリ事業を始める際に最も重要なのが、「インターネット異性紹介事業」の届出です。インターネット異性紹介事業とは、面識のない異性との交際を希望する人の求めに応じて、異性交際に関する情報をインターネット上で公衆に閲覧させ、閲覧した異性交際希望者が電子メール等で相互に連絡できるサービスを反復継続して提供する事業のことです。いわゆる出会い系サイトやマッチングアプリと呼ばれるサービスがこれに該当します。
この事業は「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」、通称「出会い系サイト規制法」によって規制されており、事業を開始する際には公安委員会への届出が法律で義務づけられています。有償、無償を問わず、反復継続してサービスを提供する場合は届出が必要となるため、個人が無料で運営する掲示板であっても要件を満たせば届出の対象となります。
インターネット異性紹介事業の届出方法
インターネット異性紹介事業を開始する場合、事業開始の前日までに公安委員会への届出が必要です。届出先は、事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する警察署長を通じて公安委員会へ提出します。事務所のない方は住居の所在地を管轄する警察署が窓口となります。無届で出会い系サイト事業を行うと法律違反となりますので、必ず事業開始前に手続きを完了させる必要があります。
なお、本法で定義する「事務所」とは、事業活動の中心となる一定の場所のことを指します。郵便物の受取や転送のみを行う私書箱やメール転送サービスの住所、電話転送機やサーバー機器のみが置かれている無人のスペース、電話応対や連絡の取次ぎだけを行うスタッフしかいない場所などは、登記の有無に関わらず「事務所」として認められません。
つまり、バーチャルオフィスや私書箱、電話代行サービスのみの場所は事務所として届出できないため、実際に事業活動が行われている実体のある場所が求められます。
また、届出は事業者単位で行うため、1つの事業者が複数のサイトを運営している場合でも1つの届出書にまとめて提出します。
必要書類
インターネット異性紹介事業の届出には、以下の書類が必要です。
個人・法人共通の書類
- 事業開始届出書(別記様式第1号)
下記の様式で、警視庁のHPからダウンロードできます。



- 住民票の写し(本籍記載、外国人の場合は国籍等を記載したもの)
- 法人の場合は、監査役を含む役員全員分が必要
- 身分証明書(本籍地の市町村が発行するもの)
- 法人の場合は、監査役を含む役員全員分が必要
- 送信元識別符号を使用する権限があることを疎明する資料
- プロバイダ等から使用するサイトの URL の割り当てを受けた通知書の写しや、URL を使用する権限があることを疎明する資料です。ペーパーレス化された現代においては、この資料を集めるのが意外に難易度が高いです。
個人事業者の追加書類
- 誓約書(個人事業者用)
法人の追加書類
- 定款の謄本
- 登記事項証明書
- 誓約書(法人事業者用)
- 監査役を含む役員全員分が必要
未成年者が事業者の場合の追加書類(個人・法人共通)
- 法定代理人の氏名・住所を記載した書面
- 相続証明書
識別符号付与業務を委託している場合の追加書類
利用者が児童でないことを確認し、IDやパスワードを付与する業務を他人に委託している場合は、上記に加えて以下の書類が必要です。
委託を受けた者(個人・法人共通)
- 住民票の写し
- 法人の場合、監査役を含む役員全員と業務に従事する者全員分
- 身分証明書
- 法人の場合、監査役を含む役員全員と業務に従事する者全員分
- 誓約書(識別符号付与業務受託業者用)
- 法人の場合、監査役を含む役員全員と業務に従事する者全員分
- 診断書
- 法人の場合、監査役を含む役員全員と業務に従事する者全員分
委託を受けた者が法人の場合の追加書類
- 定款の謄本
- 登記事項証明書
なお、識別符号付与業務受託業者には欠格事由があり、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、禁錮以上の刑に処せられた者、暴力団員等に該当しないことが求められます。
届出を行わなかった場合の罰則
インターネット異性紹介事業の届出を怠って事業を行った場合、出会い系サイト規制法違反として罰則の対象となります。無届営業をした場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。また、虚偽の届出をした場合には、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、インターネット異性紹介事業者には、届出義務以外にも以下のような義務が課せられます。広告や宣伝をする際の「18歳未満の児童は利用できない」旨の表示義務、利用者が児童でないことの年齢確認義務、児童に係る誘引情報の削除義務、届出事項に変更があったときや事業を廃止したときの変更・廃止の届出義務(それぞれの日から14日以内、登記事項証明書を添付する場合は20日以内)などです。
これらの義務を怠ると、行政処分や罰則の対象となります。法令違反が発覚すると、事業の信用が失墜するだけでなく、事業継続が困難になる可能性もあるため、適切な手続きを行うことが極めて重要です。
無届で運営して逮捕された事例
2017年に「年上フレンズ」という出会い系アプリの運営会社社長が無届営業で埼玉県警に逮捕されています。出会い系アプリの無届運営による逮捕はこの件が初です。(参考)
同年、「ツートーク」というチャットアプリを運営していた経営者も逮捕されています。(参考)
- 面識のない異性との交際希望者に関する情報を載せる
- 希望者同士が連絡できる
上記などの点で単なるチャットアプリでなく、出会い系サイトにあたると判断され、逮捕に至っています。
インターネット異性紹介事業の詳細はこちらの記事でも解説しておりますので、ご確認ください。
マッチングアプリの開業相談はごたんだ行政書士事務所まで
ごたんだ行政書士事務所は顧客のほとんどがナイト業界の事業者で、風営法に特化して運営しております。インターネット異性紹介事業の届出も豊富に実績があります。警察署とやりとりするなど、ハードルが高い部分も多いので、届出でお悩みの方は是非ごたんだ行政書士事務所にご相談ください。
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